平成24年5月、八戸で目の健康講座を開催いたしました。
当日は約500人もの方が会場に訪れ、目に関しての講演や健康相談を受けていかれました。
また開場から講演までの時間を利用して以前放送された「ATVテレビ診察室」のビデオ放映を行い、来場の方々に観ていただけるようにしました。講演開始時間には会場がほとんど埋まるほどの参加者を迎え、講演が始まりました。

  • 日時:平成24年5月27日(日曜日)
  • 場所:八戸市公民館

第一部 講演会

1.知っておきたい緑内障あれこれ - 馬場町眼科クリニック 高橋奈美子先生

よく質問される「緑内障は失明する病気か?」に対し、早期発見して治療を開始できれば、失明する事を防げる事が出来る病気であるという事から話が始まりました。

日本人の40歳以上の約20人に一人が緑内障という事が疫学調査で判明しております。また中途失明原因の1位を占めるのも緑内障であるという事からも重要な疾患であることがわかると思います。

緑内障とは、視神経(目の神経)が障害を受けてしまい視野に異常の来る病気であり、眼圧上昇や視神経の循環障害によって起こります。

緑内障を診断するための検査として眼圧検査、眼底検査、視野検査があり、それぞれの検査方法、検査結果について解説されました。

緑内障は回復させる事のできない疾患なので、治療目的は進行を防ぐ、つまり現状維持になります。治療の第一選択は点眼薬による薬物療法であることを説明の上、治療の流れが示されました。

その後実際の症例の視野の動きが提示されました。 治療が奏功し視野が10年以上も安定し落ち着いている症例や、眼圧が落ち着いていても、少しずつ進行していく症例、3年半で視野が非常に進行した症例などが示され、治療の大切さを感じてもらいました。

そして緑内障患者さんにとっての日常生活での注意点、たとえば運動、お酒、たばこ、コーヒー、その他食べ物の注意点や趣味との関係などが説明されました。

最後に緑内障を発見するためにはどのくらいの頻度で検査を受けるべきか、という事で、40歳以上は2年に1回以上、血縁に緑内障のいる方、糖尿病・強度近視などの方は1年に1回は検査を受けるようにという事で話を終了されました。

2.加齢でおこる眼底出血のいろいろ - 弘前大学大学院医学研究科眼科学講座教授 中澤満先生

眼底とは と目の解剖から判り易く説明し、網膜について触れた後に、眼底出血についてお話しいただきました。

「眼底出血」と言うと、脳出血の前触れですか? 失明につながる病気ですか? と質問されますが、眼底出血にはいろいろな形があり、眼底出血とは状態を表している言葉であって病名ではないので、きちんと説明を聞く事も大事である、とのことでした。

高血圧性網膜症・網膜静脈分枝閉塞症・糖尿病網膜症・加齢黄斑変性症・中心静脈閉塞症・網膜細動脈瘤破裂について説明して頂きました。以下に一部解説いたします。

網膜静脈閉塞症には網膜静脈の枝がつまる分枝閉塞症と基幹部でつまる中心静脈閉塞症があります。主な原因は動脈硬化によるもので、閉塞領域の網膜出血、浮腫(むくみ)を生じ、黄斑(ものを見る中心部)が侵されると視力障害をきたします。黄斑浮腫に対する薬物治療として、最近は薬剤の眼内注射が施行されるようになってきました。合併症予防のためにレーザー光凝固が行われる場合もあります。

糖尿病網膜症は糖尿病が原因の眼底出血です。発症・増悪を抑えるためには、内科の治療すなわち高血糖と高血圧の治療が重要になります。

糖尿病網膜症の説明の際、日本人と糖尿病についてのお話があり、アジア人は飢餓には強いが過栄養に弱い人種であるのだそうです。 平安時代の藤原道真が糖尿病患者として日本最古の人として記録されています。道真は美食家だったそうですが、書記の中に?昼夜の別なくのどが渇き水を飲む。?目が見えなくなった。?背中に腫れものが出来て刺したら膿汁が出て体が震えていた。?体がやせて体力が無くなっていった。 等の記載があり、糖尿病と疑われているそうです。

糖尿病網膜症は早期発見・早期治療が大事な疾患で、糖尿病網膜症で失明する人の共通パターンとして、無治療状態による悪化、治療の自己中断が挙げられるとの事でした。

加齢黄斑変性症とは眼底の中心である黄斑に異常血管が発生し、視野の真ん中が歪んだり暗く見えたりする病気です。原因は欧米化した食生活、喫煙、遺伝的素質などが挙げられています。現在治療の主役は薬剤の眼球内注射ですが、早期例には有効ですが完治させることは困難であり、また繰り返し注射をする必要があります。

最後に、病院で眼底出血と言われたら、まず種類を聞いてください。眼底出血も種類によって重症度・予後は全く違ってくるし、治療方法も違ってくるので大事な事です。と話を終わられました。

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第二部 目の健康相談

講演の後、場所を変えて目の健康相談を行いました。 相談会場には、OCT(眼底の網膜の断面をみる器械)やロービジョングッズの展示もあり、訪れた方々は順番を待つ間、手にとって展示品を見学しておりました。

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